産地情報 静岡県焼津市坂本

地質設定

焼津市と静岡市の境界をなす高草山(標高500m)は日本では珍しいアルカリ玄武岩でできた山であり、溶岩が水中に進入することでできる枕状溶岩が観察される。枕状溶岩は境界部や空隙に沸石を含み、崩れやすくなっている。このため国道150号線が通る海岸線は大崩海岸と呼ばれ、険しい岸壁をしめす。今回、紹介する産地は高草山の中にあり、数種の沸石や国内では珍しいケルスート閃石が採集できる。


行き方

国道150号線から焼津駅方向に北上して瀬戸川をこえ、坂本の集落を流れる西谷沢をさかのぼる(図1)。
沢は護岸されているがヘアピンカーブを抜ける橋のところに砂防ダム(写真左)がある。右岸側に登山路の案内板が立っており、この道から砂防ダムの裏側におりられる。ここに堆積した転石から鉱物を採集する(図2)。
また、沢右岸の道沿いの露頭(写真右)から落ちた石からも濁沸石などが採れる。

   
図1.産地の位置。「鉱物採集の旅5」より引用、かなり改変。
図2.産地の詳細

 

写真撮影2004年8月7日


砂防ダム。この向こうで採集。 砂防ダム左の露頭。転籍から濁沸石を採集可能。

産出鉱物

「鉱物採集の旅5」によれば、ここからは以下の鉱物が産する。

濁沸石(Laumontite): 脈状、たまにわりばし状。うぐいす色のもろい岩の中。たくさんある。
中沸石(Mesolite):白色柱状の結晶が半ば放射状に集合。黒いしっかりした岩の空隙をみたすように産する。
方沸石(Analcime) :ガラス光沢が強く、へき開がない粒状。黒い岩の中。たまに自形結晶もみられる。
輝沸石(Heudandite)
:真珠光沢、一方向にへき開。黒い岩の中。あまりない。
ぶどう石(Prehnite) :石英、長石に似る白色から汚れた白色の硬い塊。
ダトー石(Datolite) :ぶどう石にともなう。
チタン輝石(Titanaugite):短柱状の斑晶。わずかに磁性を持つ。
ケルスート閃石(Kaersutite)
: 黒色針状、最大1.5cm。薄茶色の岩の中。
チタン鉄鉱(Ilmenite) :黒色金属光沢、板状結晶。


巡検記(2004年8月7日)
 自転車で焼津に抜け、鉱物採集を行うという今にして思えば無謀な計画を体力を消耗する時期に決行したのはたいしたものだ。静大周辺にある仮宿を出発したのは午前8時15分のことであった。会の備品の25000分の1地形図をたよりに、国道1号線にのり安倍川を越えてトンネルを抜け、岡部町にはいる。
 150号線を使ったほうが距離は有利なのだが、大崩海岸の150号線には歩道がないため安全をとって1号線を選択した。暗く長いトンネルを自転車で走ったのは初めての経験だった。この辺りは糸魚川静岡構造線の南端で舩戸会員によれば褶曲構造がみられる露頭があるらしい。
 途中で藤枝バイパスへの分岐があるが、ここで1号線を下りる。今度は朝比奈川沿いにひたすら南下南下。東名高速の手前で左に曲がる。目的の沢は高草山から西に張り出した部分のいちばん南にある。地図と地形を照合しながら坂本の集落にはいる。ふもとの変な石像のある公園で少し休憩する。あとは沢沿いに登るだけである。しかし、本と違って沢には護岸が施されまったく転石が見られず焦る。それでも自転車を押していくと、いくらかの転石が確認され、砂防ダムにいきあたる。このとき10時30分、出発から2時間以上が過ぎていた。
 こいつを越えれば大量の転石があるに違いないと判断した私は自転車をおき、登山道から雑草をかきわけてダムの裏におりる。ここで一時間ほど楽しく採集する。
  空腹を機会に採集をやめ、食事をとって野秋の採石場にむかう。「鉱物採集の旅5」にはここでタカラン石が採れるとある。しかし、訪ねたところ瓦礫を砕いて建材にする作業が行われており、露頭には行けなかった。(タカラン石が載ったHPをみかけたので何とかなるのかもしれないが)
 しかたなく、採集をあきらめて帰路につく。炎熱ますます激しく、疲労もあるので往路より格段に遅くなった。 太平洋岸自転車道という太平洋がぜんぜん見えない道があったので、これにのってみる。しんどいときに限ってアホをやる自分は嫌いではないが、安住の地にたどりついたのは15時45分で、7時間半の長旅になった。もう、くたくた。

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