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[大犬座]

 よく知られているおおいぬ座ですが、あまり正体がはっきりしていないそうです。恐らく最も有名なのは、狩人オリオンの猟犬であるという話。他に、こいぬ座の神話で出てくるアクタイオンに噛み付いた猟犬の内の一匹である、また、冥界の門を守る三つ首の獣ケルベロス、あるいは乙女座になっている女神に関係するイカリオス王の犬メーラ等、いろいろ言われています。

 この辺りの星を大きな犬の姿として見られるようになったのは、古代ギリシャ以後のことだそうで、それ以前の古代バビロニアでは、アルゴ船座の一部を、弓の星として、シリウスをその弓につがえた矢先に当たる星と考えていて、犬の姿はしていなかったそうです。

 

神話
 狩人ケファロスという若者がいました。ケファロスは、大変美しく、エレクテウス王の娘で、月の女神アルテミスの侍女であるプロクリスと結婚していましたが、曙の女神オーロラに愛されてしまいます。この女神はどうも浮気好きな女神みたいです。しかし、ケファロスが、プロクリスの話をし、早く帰りたいといつも言うので、諦めて帰す事にしました。しかし、女神は、腹いせになのか、

「プロクリスも、あなたみたいに美しいのだから、あなたがいない間に浮気をしているでしょうよ」
などと言いました。

 彼女の美しさを知っているケファロスは、その言葉に不安になり、彼女が心変わりしないか確かめるため、オーロラの力を借り、別の男の姿になり、旅人としてプロクリスを訪ねました。そして、甘い言葉で誘惑し、金銀財宝を貢いでいました。最初は気にも留めていないプロクリスでしたが、そのしつこさについに折れてしまい、受け入れてしまいました。
 その時、ケファロスは元の姿になり、彼女のことを責めました。プロクリスは、恥ずかしさと共に怒りのあまり、家を飛び出していきました。

 その後、クレタ島の王ミノスの所に辿り着き、彼の愛人になってしまいますが、妻であるパシパエの嫉妬に恐れて帰る事にしました。その時にプロクリスはミノスから、獲物を必ず捕まえる俊足の犬レラプスと、投げれば必ず当たる槍をもらいました。
 そして、ケファロスとの仲直りの証に、この二つを彼に送りました。

 ある時、国中を荒らしまわっている、狐がいました。この狐を退治しに、ケファロスとレラプスは出かけましたが、この狐は非常に素早く、レラプスでも捕まえることができませんでした。
 困ったケファロスは、槍を投げようとしましたが、その時レラプスも狐も石になってしまいました。これは、天界から全てを見ていた、大神ゼウスが、素晴らしい素早さを持つレラプスも、狐も、互いに傷つけあうのを恐れ、また、その槍で傷つくのを恐れ、石に変えたものです。その後、レラプスは天に上げられ、おおいぬ座になったそうです。

 また、この後、女神オーロラの呪いで、茂みにいた妻プロクリスを獣と間違って、その槍で殺してしまい、自分達が住んでいた所から追い出されてしまったそうです。

 

[かたち]

α星:シリウス

 焼き焦がすもの、輝くものの意味のギリシャ語のセイリオスをローマ文字のしたものだそうです。この名前 の由来は、日の出前の東の空にシリウスが出ると夏至の頃、暑い夏の季節を作り出すと考えられたためだそうです。ギリシャでは、シリウスだけを犬の星とみてキュオン(犬)と呼んでいたそうです。紀元前9世紀の詩人ホメロスの代表作であるイリアスの中にも、その記述があるそうです。
 イリアスでは、他にも記述があり、禍のしるし、おびただしい病気を振りまくもの、とされて不吉の星とも言われていたそうです。昔のヨーロッパやローマでは、7月から8月頃まで、シリウスが太陽と並んで輝く時期を、ザ・ドッグ・デイズ、犬の日、と呼んで、厄払いをする日だったそうです。

 古代エジプト(約5000年前)でも、シリウスは夏至の日の出前に、太陽神ラーの光と共に東に昇り、一年の始まり、元日と決め、シリウスをアヌビス神(犬の顔、人の姿をした死の神)としてまつり、やがて来るナイル川の増水の季節を教えてくれる重要な星として、ソティス(水の上の星)と呼ばれ、崇められたそうです。その他にも女神イシスの光とも見られたそうです。シリウスの出てくる方向に建てられているのが、女神イシスの神殿。元日と決められたのも、太陽神とイシスの光が、地平線上で交じり、神殿内に差し込んできたことからだとも言われているみたいです。

 日本では、大星、青星と呼ばれたり、オリオンの後からつい来るので、三ツ星のあと星や、こいぬ座のプロキオンが白星と呼ばれるのに対し、南の白と呼ぶところもあるそうです。中国では、シリウスの輝きが狼の目のようであることから、狼(ろう)、天狼(てんろう)と呼ばれていました。

β星:ミルザム  アラビア語のアル・ムルジムが語源で、吠えるもの、予告するものという意味。中国では「野鶏(やけい)」と呼んでいたため、α星(狼)がβ星(鶏)を狙って追いかけてゆく姿が想像されたからではないかと言われています。
γ星:ムリフェイン  もともと、おおいぬ座のδ星と、はと座の星で構成されてる、アラビアの星宿アル・ムリフェインが、間違ってこの星に与えられたものだそうです。
δ星:ウェズン  アラビア語のアル・ワズン(重さ)が語源。地平線から昇るのが大変そうな星。冬の南の地平線上低く見える星ということからつけれらたそうです。
ε星:アダラ  アラビア語のアル・アダーラ(処女)から来ているそうです。本来はこの星だけでなく、δ、η、σを含めた星の名前だそうです。日本では、δ、η、εの三つの星を「三角」、馬の背中につける鞍をかけて置く「Λ」の形に似ていることから、鞍掛け星、とも言うそうです。
ζ星:フルド アラビア語のアル・クルドが語源で、意味は猿。もともとは、おおいぬ座のζ、λと、はと座のγ、δ、θ、κ、λ、μ、ξに与えられたものだそうです。
η星:アルドラ  アラビア語のアル・アドラ・アル・ジャウザ、オリオンの乙女が語源

中国では、εとκ星と、とも座のκ、ο、π、名前の無い星1つでなる形を「弧」と呼び、弓を指していて、δ、η星と、とも座c(NGC2451)、f星をそれにつがえた、「矢」としたそうです。シリウスを狙っている弓矢のように想像し、「弧矢(こし)」と呼んだそうです。

 

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